|午前7時前 ▷ 空港
EZY 3857便のチェックインが完了した。
朝早い時間なのでブラックバスはすいているかと予想したが、さすがはヨーロッパを代表する国際空港だけあって、半分以上の席が埋まっていた。
シャルル・ド・ゴール空港の第2ターミナルには2Aから2Fまで6つの島がある。中央の道路をはさんで2A、2C、2Eの奇数番目が南側に、2B、2D、2Fの偶数番目が北側に並ぶ。なので、2Bと2Dの島が隣接する。バスを降りたのが2Dの奥なので、目的の2Bに行くには、2Dをすっかり横断しなければならなかった。
時間に余裕を見て宿を出てきたつもりだったが、送迎バスとターミナル内での移動に思ったより時間がかかり、チェックインの手続きが終わった時には7時が近かった。早めの行動の大切さをいきなり再認識した朝であった。
出国審査を抜けて出国エリアに出る。
ホールの片隅にあるオープンカフェに入り、カフェオレとクロワッサンの朝メシにする。コーヒーだけなら少量の濃いエスプレッソをくっとあおってもいいが、クロワッサンを食べながらだと、ある程度の量がほしい。カフェオレを数口飲んで落ち着く。
そういえば所持金のことをすっかり忘れていた。朝メシのあとにATMを探してみるが、出国ホールにはさすがに見当たらない。クロアチアはどのみちユーロではないので、現地で円から直接替えるか、改めてATMで引き出すことにしよう。
|8:25 ▷ 搭乗
イージージェットは格安航空会社なので基本的に座席指定がない。しかし、乗客たちは格安航空会社に乗り慣れているのか、あるいは花の都パリで醜態をさらすのは憚(はばか)られるのか、多少の興奮を振りまきながらも、余裕の顔で搭乗機に乗り込んでいた。
私が座った席は、前後方向で中ほどの通路側である。先に30人くらいが乗り込んだと思うが、後ろのほうにはまだ空席が残っている。とくに通路側はわりと空いていた。機材はA319か320。飛行機には疎いので、どちらかはわからない。
|10:55 ▷ 到着
ザグレブ! EZY 3857便はほぼ定刻に到着した。入国審査も5分ほどで通過する。スタンプを押すだけの事務的な作業だった。
到着ロビーに出ると、まるで出てくる旅行者を待ち構えるかのように、両替所の窓口が真正面に2つ並ぶ。すでに到着客が何人か集まっている。円から直接両替できればいいなと期待しながらレート表をのぞくと、日本円のレートがしっかり載っていた。単に賑やかしで載っている可能性もあるので、会話集をカンニングし、
——Mogu li promijeniti japanski Yen?(日本円を両替できますか)
と聞いてみる。
かりにも首都の空港なので英語くらい話すに違いないが、現地の言葉を使ってみるのも海外旅行の楽しみのひとつである。窓口の中年女性は私の心もとないクロアチア語に不愉快な顔ひとつせず、むしろ柔らかな笑顔さえ浮かべてクロアチア語で返答する。その様子から日本円も替えられることがわかったので、1万円を受け渡し口に差し入れた。
1万円は703.63クーナ(クロアチアの通貨単位)になって返ってきた。つまり、1クーナは14円強、ざっと15円と覚えておけばよさそうだ。
▷ ザグレブカード
両替を終え、いざビルの外に出ようとしたところで、出口の脇にインフォメーションがあるのが目に入る。とりあえず中に入る。ザグレブの見所をまとめた各国語の冊子が棚に並んでいた。ザグレブカードの案内冊子もある。
——そうだ、これを購入するつもりだったのだ。
ザグレブカードには1日券と3日券があり、期限内はトラム(路面電車)などが乗り放題になるほか、博物館などで割り引きを受けることができる。はたして元が取れるのか、いくらか心もとない部分もあるが、滞在中はトラムでの移動は必須であり、乗りたいときに切符なしで自由にトラムに乗れる機動力は貴重である。
ザグレブカードは夜中の24時に失効するのでなく、24時間後あるいは72時間後まできっちり使えるのが良心的だ。滞在はあさっての午後までなので72時間だと長すぎるが、1日券を2枚買うより割安なので、3日券を買う。
値段は90クーナだった。15を掛けると1,350円になる。意外と高い。
ターミナルの外に出ると目の前にバスが止まっていた。行き先はバスターミナルと書かれている。