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ラオス, 2013年
  はじめに
 2013年の1月から2月にかけてビエンチャンに2週間ほど滞在した。私は元来、移動派で、ひと所に長居することは稀である。たまには腰を落ち着けて滞在したいと思ったのだった。厳冬の日本を離れたいという思いもあった。

巻頭写真
夜のナンプ広場

 ビエンチャンを訪れるのはたしか10年ぶり以上である。大通りはすっかり舗装され、車が通るたびに土ぼこりが舞い上がるという暗然たる状況はなくなっていた。メコン河畔もきれいに整備され、遊歩道が完成している。携帯電話や無線インターネットのサービスも普及しつつあり、時代の要請にどうにかついていっている印象を受けた。
 ただ市中の寺だけは、まるで時の治外法権であるかのように、ゆるやかな時間を囲っていた。あるいは外からはそう見えただけで、現実には由緒ある寺も時代の波に洗われているのかもしれない。

巻頭写真
メコン河畔。ここから先は工事中

 移動する旅ではなく、少し長めに滞在すれば、いつもと違った風景が見えるかもしれないという期待があった。同時に、ビエンチャンのような田舎町に2週間も埋没できるのかという不安もあった。幸い、気候のいい日が多く、毎日出歩いた。
 しかし結果として、2週間程度では見える風景はあまり変わらず、生活っぽいこともできなかった。私はやはりひと所に沈没するのが不得手かもしれない。それとも、留まりたいと思うほどの愛着を感じなかったのだろうか。

巻頭写真
廃ビルのある町外れ

 今回の滞在はどこか中途半端に終わった感があるものの、それでもビエンチャンの中心部を西から東まで歩き、主だった場所を訪ねることができた。印象に残った場所や出来事を街エッセイとして記録したので、よかったらお読みください。

巻頭写真
午後遅い寺の境内

(2013.9.11 記, 10.28 改)