遙かにバルカン
ウィーン〜イスタンブールの旅日記
〈復刻版〉
20数年前の学生一人旅
さらに東へ
198某年 313日( 7日め
ベオグラード

旧ユーゴ移動図(Googleマップを加工)
 前日の晩、ユースホステル・タイプの宿を目指して到着したのは学生寮でした。親切な学生さんがベッドを空けて、寝させてくれました。
 日本出発から数えて2週間目に突入。外は意外にも快晴。5円玉を2人分あげてお世話になった学生寮を退出。9番のトラムで駅。荷物をまず預けねば。しかし、見つからないので「グディエ・ガルデローバ?(荷物預りはどこですか」。数日前に控えておいた単語が役に立つ。
 順番を待っていると、後ろに外人さん。つまり、英語を喋るお兄さん。From Texas。
 トルコの革製品は安いとか、ルーマニアはよくないとか、教えてもらう。彼はこれからハンガリー大使館にビザを取りに行くというので、一緒について行く。門前にイギリス人、中にはアフガニスタンの人。
 11時前から小一時間で発給。US $11。
 駅まで歩いて、そこのレストランが今これを書いている場所
出費
・ハンガリーのビザ $11
・昼メシ Din 980(パン、肉、キュウリのサラダ、コーラ)
 (1ディナール=約0.6円)
 博物館はなかなかよかった。埴輪(はにわ)みたいなのもあった。絵画もおもしろかった。
出費
・博物館 Din 55
・ジュース Din 170/ホットドッグ Din 120
 オルトドックスセルビア正教会の教会をのぞいてから駅にもどる。No.9のトラムに乗り、ユースに向かう。教会を過ぎて降りる。

 宿で同室4人のうち3人が日本人。京都と広島。残りはイギリスのライダー19歳。すでに2カ月半まわっているらしい。

出費
・荷物預り Din 60
・ユースホステル Din 2,100
・晩メシ Din 1,100
アイコン今日のディナール残 2,428/ドルキャッシュ残 $134
314日( 8日め
 7時15分ごろ起床。8時に朝メシ。
 広島の人と一緒にギリシャ入りすることに決める。ソフィアブルガリアの首都に直接入るつもりだったが、夜中に着く列車しかないので、時間つぶしのため。[*1]
*1:ソフィアに日中着けるように、一度ギリシャのテッサロニキに行ってからブルガリアに入ることにした。地図で示すと下の点線のようになる。

迂回移動の図(Googleマップを加工)
 チェックアウトを済ませてブルガリア大使館へ。京産京都産業大学の人からこの辺りだと聞いた所をさがす。ドイツと国連の建物あれど、ブルガリアはなかなかみつからない。
 警官のような人に尋ねると、そこから50mほどの所だった。門前には6、7人。一人は日本人。10時から開くはずなのだが、開いたのは結局10時半を過ぎてから。何ちゅうこっちゃ
 ビザは簡単に取れた(2〜3分)。
アイコン 両替
$5(キャッシュ)→ Din 1,500(ビザ代用。レート悪し)
出費
・ビザ Din 3,500
・ハンバーガー Din 200
 そのあと駅に向かうが、正教の立派なカテドラル大聖堂をたまたま見つけたので入る。中はほとんどがらんどうで、ロウソクを立てる所と、奥にイコン宗教画があったくらい。ここにはキリストのはりつけの絵はなかった。シャンデリアがものすごかった。
 両替をして駅へ。列車用に少し買い出し。
アイコン 両替 $20 → Din 6,302
出費
・ジュースとビスケット Din 281
・ハンバーガー Din 240
・荷物預り Din 60
 1時半、国際線のチケット売り場前。
 窓口はしかし「closed窓口のおばさんが片付けを始める。何だ何だ?と見ていると、机の上のものをすべて棚にしまう。2時になると別のおばさんがやってきて、またごちゃごちゃ机の上に並べて、やっと業務を再開。そのまま事務を引き継げばいいのに……。
 列が長いので、結局、車内で買うことにする。2等は鬼のように混んでいる。仕方なく1等。2000ディナールくらいかと思ったが、甘かった。
出費
・ベオグラード→国境までのチケット(1等) Din 3,078
 14時35分発のギリシャ行きの列車に乗り込み、ギリシャのテッサロニキ経由でブルガリアに向かいます。
 6時すぎにビュッフェをのぞきに行く。はじめは前にあると思って延々と歩き続けて、とある車両の前方の扉を開けると、次の車両はなく、目の前は外だった。
 あれにはびっくりした。
 後ろにもどって、また延々と列車を渡ってようやくビュッフェを見つけ、オムレツとコーラ。のどが渇いていたのでレモンジュースを追加。日本人2人が加わる。
 コンパートメントには5人。かなり窮屈で寝れない。しかし、スコピエを過ぎてからに比べると、はるかにマシ。スコピエは夜中だというのに、ほんとに大勢の人が乗ってきて、廊下もあふれる始末。
 夜中の2時頃、国境。パスポート検査とチケットの検査。それがユーゴ側とギリシャ側でそれぞれ行われる。時間的にはあまり眠れなかったが不摂生な学生生活のおかげか、今はさして眠いとは思わない。
 ギリシャ側のチケットを買って、ほどなくテッサロニキ朝の6時半頃に到着。
出費
・ビュッフェ(オムレツ 330、コーラ+ジュース 300)
・国境→テッサロニキまでのチケット Din 2,000弱
アイコンディナール残 437/ドルキャッシュ残 $128
315日( 9日め
〈ギリシャ〉
テッサロニキ
 もうあと一週間しかない。いや、何とか10日あるか。トイレを済ませて、待合室でオレンジ。この辺りまで来ると結構暖かいようだ。緑が多い。
アイコン 両替 $20 → Dr 2,677
(Dr:ドラクマ、ギリシャの通貨単位。1ドラクマ=約1.3円)
 すべての方面、と書かれた窓口に並んだが、国境までのチケットといえども国際線の窓口に行け、と。
出費
・絵はがきとジュース Dr. 60
・チケット:テッサロニキ→国境 Dr. 655
 それにしても、ここはギリシャ。1時間やそこらの遅れで済むとは思えない。実際、今が発車予定なれど何の気配もない。ただ、ホームで待つ人は異常に多い。
 10時すぎ(ユーゴ時間では9時すぎ)に列車到着。一瞬、どよめく。大勢の人が入口に群がる。
 が、やはりソフィア行きの車両は2等車もすいていた。廊下ではとても夕方までおれんところだ。この2等車はコンパートメントが8人掛け。ベオ〜テッサロニキの、クッションのきいた1等車に比べると劣るのは当然。しかし、べつに贅沢(ぜいたく)の必要はない。
 コンパートメントは結局7人となる。いま10時20分。この辺りは緑も多く、なだらかな丘が連なっていて、見ているだけで心地よい。
 12時(ユーゴ時間[*2])を過ぎて、景色は岩肌をあらわにしたゴツゴツとした感じになる。風があるので外は寒い。
*2:ギリシャなのにユーゴ時間で書いているのは、腕時計がユーゴ時間のままだから。
 ギリシャ側の国境の駅Promachon読み方不明では、かなり長い間、停まっている。車両はいつのまにか切り離されたり、くっつけられたりで、客車はこの一両のみ。乗客はぼくを入れて4人だけ。昨日のスコピエの混み方を考えると夢のようだ。後ろには貨物車がひっついている。
 なかなか辺鄙(へんぴ)な路線を通っているのだな。
 しかし、ソフィアにはいつ着くのだろう。場合によっては滞在時間の都合で何も見れずに終わるかもしれない。
 午後2時半頃(ユーゴ時間、国境を越えてブルガリア入り。検察のおっさんは愛想よかったので少し安心した。ただ、列車は2つの国境駅で全然動かん。何やっとんねん。合計すればもう2時間も停まっとる。ギリシャとブルガリアの列車だから仕方ないと言えば仕方ないが午後7時頃にソフィアに着けるはずが、意味もなく停まっとったら時間がもったいない。
 入国のハンコスタンプには時間時刻を表す数字がないように思える。30時間というのは、どうやって測るんだろうか。[*3]
 しかし、はよ動けよなー。
*3:ブルガリアの通過ビザでは30時間まで滞在できるが、入国スタンプに時刻がないと、出国時に滞在時間が計算できない。
16:01めでたく動く。何も言う気力なし。ひたすらありがたい。と思ったのも束の間、それは車両編成のためだった……。16:13いまだ動かず。16:20再び動く。今度こそ本当だろうな。
 6時前(ユーゴ時間)に車掌が来て、2人のばあさんと少し世間話をしたあと、オレにドルの両替をしないかともちかけてきた。車掌だと思って安心していたが、隣のばあさんが合図目配せをしてくれた。
 これがいわゆる闇ドルか[*4]。危ないところだった。明日はブルガリアを出てベオグラードに行くので、ブルガリアの金はいらないということもあった。
*4:その国の事情を知らずに闇両替をやるのは避けたほうがいい。とくにこういう密室ではリスクが大きい。
〈ブルガリア〉
ソフィア
ウィキペディア
 9時半、着。やばい。i観光案内所は土曜日で休み。町なかまで歩いて行くが、地理がよくわからない。それに寒い。中心地あたりまで行くが、ホテルらしきものはない。“хотел”(ホテルと表示された建物を見つけるソフィアの宿は高いと聞いているので、おそるおそる入ろうとする。が、戸は閉まっている。不思議と焦りはない。駅にもどりがてら、さらに探す。途中でもう一軒みつけたが、そこもダメ扉が開かなかった
 駅に着き、の待合室でイスに座ろうとすると、日本人らしき4人。聞けば、夜行でイスタンブールに行くと。列車は飽きてきた頃なのだが、駅に泊まるのはやばそうなので、同行することにする。
出費
・チケット:ソフィア→国境 $16

アイコン ブルガリア出国時の残高
 ・シリングの余り:öS 151.70
 ・ディナールの余り:Din 337
 ・ドルキャッシュ残:$97
 ・ドルT/C残:$500


バルカン移動図(Googleマップを加工)
2版/2010.5.23
地図の追加/2015.8.09