荷物預かりの向かいがチケット売り場だった。自分の番になり、窓口でカロチャと告げると、おばさんは発券システムのディスプレイをこちらに見せ、料金や発車時刻や乗り場などを丁寧に教えてくれる。
乗り場に向かう前にサンドイッチとジュースを仕入れる。ただでさえ店が少ないと予想される田舎町だ。日曜日にはすべての店が閉まっていると覚悟しておいたほうがいい。晩メシはブダペストに戻って食べる予定なので、カロチャで飢えることはないはずだが、小腹をすかせながら物欲しげに歩いても楽しくはない。
発車10分前くらいに乗車が始まる。この1110番のバスはカロチャが終点ではない。乗り過ごすと大変なので、乗り込む前に会話集のフレーズを反復し、着いたら教えてもらうよう運転手に頼む。
Meg tudná mondani Kalocsan?
しかし残念ながら、発音が悪いのか、文が不自然なのか、それとも両方なのか、運転手は困惑した表情を浮かべている。仕方がないので最後の「カローチャン」だけ繰り返す。
運「カローチャン?」
私「カローチャン」
運「OK」
と、何がOKなのかよくわからないが、カロチャで降りることは伝わったようだ。着いたら声を掛けてくれるだろう。
カロチャに行くバス
(ハンガリー語では sz は [s] の音を表す)
カロチャまでのバスチケット
参考データ
• ネープリゲット・バスターミナルでの荷物預かり:場所はチケット売り場の前、階段の下。原則無休のようで、夜は21時まで。基本料金は450フォリント。(2015年6月現在)
ハンガリー語にまつわる蛇足
•カロチャン:最後に付く「ン」は日本語の「で」に当たり、カロチャで、という意味になる。