宿の朝食
6時前に目が覚め、6時すぎに起床。昨日は少し遠出をしたせいか体が少し重い。今日は基本的に移動だけの日にしよう。
朝日が燦々(さんさん)
〔看板は隣のホテルです〕
8時半ごろ朝メシに下りる。受付の隣の部屋。この宿は設備云々よりもセンスがよくて気持ちがいい。女将さんの差配だろうか。この部屋にしても、天井近くの渡し板に小さめの素朴な土器が4つ5つ並べてあり、ローカルな古民家の風情が漂う。
朝メシは素朴なコンチネンタルだが、食器の1点1点に配慮がある。オレンジジュースとバナナが添えられていて気持ちが賑わっていたら、意外なことにゆで卵までついていた。外観は古びた宿だが、どうして中のサービスには温かい血が通っている。
見た目もおいしそうな朝食
ミ サ
8:45プリズレン2日目に訪れたカトリック教会がじつは宿のすぐ近くにあるので、日曜日のミサを少しのぞきに行く。
堂内に入ると、最奥の壇上ではなく、手前にある小ぶりの演台の前で神父が何か喋っていた。参列者はざっと100人弱か。10分ほどすると讃美歌の時間になるが、合唱隊はおらず、前列に座るシスターを中心に信者が自分たちで歌っていた。
讃美歌はものの数分ほどであっけなく終わる。今度は神父が少し高い壇に上がって改めて話を始める。何かの拍子に信者たちが一斉に立ち上がり、しばらく後に一斉に着座する。そういう光景が何度かあった。神父の話が重要ポイントにさしかかったのだろう。ただ、信者の態度にも温度差があって、立ち上がらずに座ったまま、長机の上に両手を組んで祈る人もいる。
9時を過ぎたころ、神父がおもむろにパンのかけら(のようなもの)を食べ、水を飲む。ミサのハイライトである。
その後、信者たちは祭壇に並んで1人ひとり神父に何かの所作を受けている。一番後ろからだと詳しい様子がわからないが、並んでいるのは全員ではなく、参列者のざっと7割くらい。生徒が先生からテストの返却を受けているふうに見えなくもないが、祭壇から戻ってくる信者はもちろんみな満足げである。
最後は聖歌斉唱と神父の締めの話があって終了。
信者がぱらぱらと散開するなか、垢抜けた感じの夫婦に声を掛けてみる。神父が何語で話していたのか知りたかったのである。
奥さんは英語が話せ、神父の言葉はアルバニア語だと教えてくれる。音のリズムがセルビア語にも聞こえたのだったが、考えてみれば正教と関係のないカトリックでセルビア語はおかしい。
日曜のミサはこれで終わりではなく、11時からメインのミサがあって多くの人が参集するという。ミサは平日の夕方にもやっているようだ。カトリックに興味があると思われたのか、あるいは機械的な勧誘なのか、これから神父に会う予定だといい、一緒にどうかと誘われた。信仰としてのキリスト教には関心がないし、それに今日は移動日なので辞退した。実際、やるべきことがいろいろ残っている。
余談ながら、ミサの参列者にはスカーフをつけた人が何人かいた。髪を隠す風習はキリスト教にもあることを思い出した。コソボはゆるいイスラムの国であり、しかもセルビア正教への敵意は徹底しているが、このカトリック教会は出入りが自由であり、100人近い信者が日曜日の朝9時前から一堂に集まっている。少なくとも今現在、カトリック信者が迫害を心配している気配はない。なにより、カトリック信者はアルバニア人である。
先ほど話した奥さんは、両親もカトリック信者だと言っていた。カトリックはどういう経緯でコソボに入ってきて、どのようにして根付いたのだろう。
カトリック教会(先日撮影したもの)
行 程
宿に戻って最終地ブダペストまでの行程を考える。
いま決まっているのは、今晩のスコピエの宿まで。陸路でブダペストに行くと夜行の連続になるので、いまの疲労度から考えてこれは選択肢から外れる。すると空路ということになる。マケドニア方面からの飛行機を探してみる。ハンガリーに直接飛ぶならWizz Airだ。ブダペストに飛んでいる町のリストを眺めると、辛うじてギリシャのテッサロニキがあった。
スコピエからテッサロニキへの行き方を調べてみる。うまい具合に朝6時のバスがあり、所要5時間だ。出発はたしかに早いが、正午ごろに着くのは魅力だ。明日これでテッサロニキまで行って一泊し、あさって一気にブダペストに飛ぶ。我ながら、いい行程である。
Wizz Airの当該便は50ユーロほどだが、空港でのチェックイン代10ユーロ(自分でWebチェックインして搭乗券を印刷すれば不要)と、荷物代15ユーロを加算すれば75ユーロになる。1万円前後なら予算の範囲内である。
10:50ということで、Wizz Airの便を予約した。さて、宿をチェックアウトしてプリシュティナ経由でスコピエだ。
✧✈️ 74.99€
スコピエ→ブダペスト移動図(Googleマップを加工)