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 グルジア雑記 
えにし
経巡るグルジアトビリシの縁
 
1再びのグルジア 〜序〜
 いつの間にか13年の歳月が流れた。
 グルジアを前回訪れたのは2001年、Kさんが首都のトビリシに滞在していた年だった。Kさんとはそれまで面識がなかったはずだが、どういう経緯だったか事前にやりとりがあり、Kさんがトビリシにいる機会をとらえて訪れたのだった。
 グルジアを初めて訪れたのは、そのさらに3年前の1998年にさかのぼる。イランからの帰路だった。せっかく西アジアの奥深くにまで来て、イスタンブールに直行するのはいかにも味気なく、現地でビザを取りながら、イランに北接するアルメニア→さらにその北のグルジア→黒海沿岸に沿ってイスタンブール、という経路をたどった。動機はひとえに好奇心である。旅話のネタにもなる。ただ、当時はまだカスピ海ヨーグルトもなく、グルジアという山国に関する知識はないに等しかった。
 アルメニアから国際バスで着いたグルジアの首都トビリシは、意外とこぎれいで落ち着いた町だった。旧ソ連国にありがちな、機能一辺倒の武骨で無機質なコンクリート建築はそれほど目に付かず、表通りなどは多少の装飾を施した、むしろ小粋な建物が並んでいた。たゆたう文化の残り香に、この国の精神の豊かさが透けて見えた気がした。ただ、時代はグルジアを乱暴に通り過ぎたと見え、まるで老人の歯がところどころ欠けるように、風化の跡があちこちに残って寒々しかった。
 グルジアの情報はもともと少なかったうえ、泊まったホテル・イベリアはその夜しか空いておらず、他に宿の当てもなかったため、翌日は長距離バスでトルコに抜けた。
 初めてのグルジア訪問は、こうしてほとんどニアミスのような形で終わった。
 その後もグルジアという国は頭の片隅にあり続けたものの、わざわざグルジアを目指して出掛けるほどのモチベーションはなかった。ところがまったく幸いなことに、Kさんのトビリシ滞在(しかも2回!)がそのつど私の背中を押し、おかげで2014年に3度目の訪問が実現した。
 今回は寒さで体調を少し崩し、思っていたほど歩き回れなかったが、ほんの片言ながらもグルジア語の短文を話し、市バスで移動し、宿にも恵まれ、多少は旅めいた時間を過ごせたように思う。
 noteというサイトにはすでに写真を何枚か載せてあり、できれば散文も何か書きたいと思っている。目次ページや下のリンクからご覧いただければ幸いである。

トビリシを横断する〈ルスタベリ大通り〉の建物

コーカサス周辺図(Googleマップを加工)
(2014.10.26 記)