ウラジオストク自由旅
2010.10.03sun.
〈前 編〉
前日
✢ 夜遅くにホテル「プリモーリエ」にチェックインする。
6:25
✢ 携帯電話の時計表示を見たら4時台だったけど、腕時計を見たら6時台。寝ぼけ眼(まなこ)で一瞬、頭が混乱する。数秒考えて、携帯電話のほうが日本時間のままなことを思い出す。ウラジオストクは日本より2時間早い。
✢ ロシアというと、日本より西で時間が遅れているイメージがある。ウラジオストクはたしかに明石より西だけど、沿海地方の標準時はなぜか日本時間より早い。
✢ 朝メシは6時からなので、このまま起きることにする。
※ウラジオストク時間は2014年の秋に〈日本時間+1〉に変更されたようです。
8時半ごろ
✢ 朝メシのあと、散歩に出掛ける。
✢ 宿から徒歩数分の場所に駅がある。シベリア鉄道の終着点だ。そのわりに、周囲には売店や飲食店が数えるほどしかない。駅前のロータリーにはタクシーやバスが並ぶが、秋の空気が落莫としてどこか物寂しい。
✢ 駅舎に入ってみる。待合室はちょっとした体育館か講堂ほどの大きさがあり、長椅子がずらりと並んでいた。
✢ 駅に改札はない。改札どころか、大通りから陸橋を渡ればそのままホームに降りることができる。おりしも長距離らしき列車が2本、ホームに停車していた。
✢ 陸橋を渡って駅の裏側に行く。その向こうはもう金角湾だ。線路と湾の間の道を通って市の中心部に向かう。
✢ 湾がL字に右折する懐に、長方形の広大な広場がある。中央広場という。無駄に広い空間と巨大な像がどうにも旧ソ連的で、ああ、ロシアに来たのだとうれしくなる。
✢ 中央広場の、オケアンスキー通りとぶつかる一角にバカでかい像が立つ。革命戦士の像というらしい。下の写真で人の大きさと比べれば徹底した巨大さがわかる。
9時すぎ
✢ オケアンスキー通りを少し歩きかけたが、すでにいい時間だったので、チェックアウトのためにいったん宿に戻ることにする。
* * *
10:50
✢ チェックアウトしてホテルを出る。フロントの女性はにこやかで愛想がいい。これが資本主義ロシアか。
✢ こぎれいで気持ちのいい宿だったが、唯一の誤算は両替ができないこと。向かいの銀行でできると言われたが、今日は日曜日。チェックアウトのあとに行ってみるが、ふつうに閉まっている。市中のATMで預金を引き出すしかなさそうだ。
✢ 朝の散歩と同じように駅に出たあと、駅前にあったATM(バンコマート)で1,000ルーブル(RUB)だけ引き出す。為替は1ルーブル=約2.9円なので3千円弱。
✢ 駅から中央広場に行き、今度は地下道をくぐって道を渡る。地上に上がる階段の手前にドアがあったので入ってみると、ツェントラーリヌイというショッピングビルの地階に出た。
✢ エスカレーターで5階まで上がってみる。見たかぎり、アパレルやファッション方面の店ばかりのよう。最上階はフードコートだが、店は5、6軒で、日曜の午前中のせいか客はまばら。ピザやサラダなどの洋軽食の店が多い印象。再びエスカレーターで1階に降り、地上の出口から出る。
※ツェントラーリヌイ(露:центральный)は「セントラル」の意味。
✢ 通りでシナボン(cinnabon)の立て看板を見る。角のビルの2階に店舗があるようだ。先ほど漂っていたシナモンの香りは、どうやらここが出所のようだ。
✢ 立て看板につられてビルに入る。朝からよく歩いているためか、甘い物に誘われる。2階に上がると店があった。照明が明るいうえ、角部屋で窓が多く、さわやかな日曜日のブランチという感じだ(ぼくは宿でしっかり朝メシを食べてきたけど)。
✢ 陳列ケースの小さいシナモンロールを指さして1つ注文し、壁のドリンクメニューからミルク入りのアメリカンを注文する。計170ルーブル。邦貨で500円ほどだが、今日はまだ乾電池しか買っていないので、物価の感覚がわからない。
✢ 雨が降ってきた。幸い、折りたたみ傘をカバンに入れてきたので、湾沿いのスベトランスカヤ通りを歩いてみることにする。
* * *
12時半
✢ 中央広場の前から小雨のスベトランスカヤ通りをぶらぶら歩く。写真のАПТЕКАは薬局の意。
✢ 数分歩いたブロックの角に、グムという百貨店がある。グムはモスクワ店が有名で、かつてはソ連を代表する格式ある国営百貨店だった。ロシア語のグム(ГУМ)はもともと国営百貨店を表す頭文字だ。グムという呼び名はいまも同じだが、意味は「第一百貨店」のようなものに変わっている。
✢ スベトランスカヤ通りをさらに進むと郵便局があり、その少し先を曲がると人形劇場がある。その奥に立つ門がニコライ2世凱旋門(通称ニコライ門)だ。凱旋門というと勇ましいが、実際に行ってみると、モロゾフの洋菓子みたいな可愛らしい建物である。
よろしければ 後編 もどうぞ。