6. 竈門(かまど)神社
入口から見える構えが映える。
広めの駐車場の奥、何段かの階段を上った先に一の鳥居がある。その先は見えないが、背後にこんもり茂った小山がある。
——鳥居の先に行きたい。
そう思わせる磁力がある。
竈門神社の入口
後ろの山は宝満山という。霊山であるらしい。かつては修験道(しゅげんどう)も行われていたとか。この山の名前に因むのか、竈門神社には宝満宮(ほうまんぐう)の別名がある。
宝満宮の額を掛けた鳥居と、竈門神社の石碑
秋の午後は太陽が低い。先ほどのヒガンバナもそうだったが、もみじの薄い葉はまるで着色フィルムのように光を斜めに透過する。ふと風がやみ、世界がしばらく無音になる。
もみじ葉が明るい。紅葉も見てみたい。
左の脇道に鳥居が連なっているので入ってみる。奥に小さな祠(ほこら)がある。式部稲荷社というようだ。「稲荷=稲がなる」で、豊穣・食べ物の神さまを祀(まつ)るという。沖縄のうたき(御嶽)のように、がらんとした空間そのものが神聖で、建物が質素なのがいい。
式部稲荷社
参道に戻って長めの石段を上ると、いよいよ本殿が現れる。高い秋空の下、西日がまるで私がここを守るのだとでもいうように、境内をあまねく照らしている。
祀(まつ)っているのは玉依姫命(たまよりひめ)だという。縁結びの神社だといい、男女に限らず、人や仕事を含めたさまざまな縁を結んでくれるらしい。
さしあたって具体的な頼み事もないので、辺りに漂う神気をいっぱい浴びておく。ここが鬼滅の刃の聖地であることはあとで知った。
竈門神社の拝殿
これぞ拝殿、という写真
竈門神社は休日に手軽に来れる御利益スポットだ。一方、神気についていえば、天開稲荷社のほうが勝る感じがする。どの神社をどう回るのか、天満宮を出たあとにそのときの気分で選ぶのが吉といえそうだ。
一連の行楽記はここまでです。最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇
(2020.10.4 記)