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カトマンズ雑記
暗い夜と乾いた

2012.12.302013.1.03

 ネパールにはいま議会がない。制度上はあるにはあるが、政党間の対立でほとんど機能しないまま解散に至った。議会があったところでエネルギー不足は深刻である。まともな水源がないので常に水不足だし、とくに乾期の冬は発電量が減って停電が増える。すなわち計画停電の延長と相成る。
 滞在した年末年始は計画停電が毎日12時間だった。
 宿や商店は電気がないと商売にならないのでジェネレーター(発電機)を備えている。宿の周辺は旅行者向けの店がずらりと並ぶため、停電の夜でも十分に明るい。
icon タメルの夜
 旅行者が集まるタメル地区には商店・飲食店が多く建ち並び、夜も灯火が絶えない。そうはいっても、照明が灯るのは店の内外だけで、通常のオフィスや閉店後の店はもちろん、上階にも光はなく、光のすぐ隣に闇が迫る。
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 宿の近くの雑貨屋。周囲は暗い
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 商店が多く明るい一角
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中心部は普通に明るいが、上階は真っ暗だ
 冬はそれなりの設備がほしいと思い、滞在中は安めの中級ホテルに泊まっていた。おかげで停電中も照明には困らず、湯のシャワーも出た。
 計画停電が始まるとジェネレーターのモーター音が聞こえてくる。出所は正門の方角だ。翌朝探してみると、たしかに正門の脇に専用のケージがあり、発電機が置かれていた。野外イベントなどで使う、金庫のような重量級の発電機を想像していたが、あに図らんや、あったのはミカン箱程度の小さなものだった。
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   宿の発電機
icon 水事情
 ネパールは水事情も悪い。
 東南アジアの大都市や中国雲南省の昆明や大理などと違い、近くに大河や湖がない。乾期になれば川の水量も減る。カトマンズの人口は逆に増え続ける。1日の給水時間はせいぜい数時間だと聞く。なので、宿や飲食店だけでなく、裕福な家は屋上や地下に給水・貯水タンクを設けている。
 朝、タメル地区を歩いていたら、給水車による給水作業に遭遇した。タンクの残量が減ってくると、こうして水を買うらしい。
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)屋上にタンクを置いた家。()給水車による給水
 市街地を歩いていると、共同の水場をたまに見かける。広場の一角に水道が置かれ、人びとが水を汲んだり洗い物をしたり、子どもたちが遊んでいたりする。大規模なものになると、何メートルか掘り下げて地下水を取っている。中世の建造物だそうで、ヒティと呼ばれる。そこでも多くの市民が水くみや洗濯をしている。効率は悪いが生活の生命線である。
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実用性とデザインを兼ね備えた伝統的な水場
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    干し方に芸術すら感じる
 —— 中世のネワール文化が生き残るカトマンズ盆地だが、日々のライフラインはとても心もとない。カースト制度も温存され、人びとの暮らしは見た目ほど文化的ではなさそうだ。
(2013.6.18 記)     
〈参考文献〉