1. 人称代名詞
1a. 性・数・格による変化
参照用に一覧形式で示します(変化の多さにめまいがしますが)。
第一に重要なのは「私」(1人称単数)と尊称形の「あなた」でしょうから、両者のまとめを最初に示します。なお、主格の代名詞は強調時を除いて省略されるのが一般的なようです。
第一に重要なのは「私」(1人称単数)と尊称形の「あなた」でしょうから、両者のまとめを最初に示します。なお、主格の代名詞は強調時を除いて省略されるのが一般的なようです。
私 と あなた
2人称(あなた)の代名詞はいくつかありますが、年上や初対面の相手には dumneavoastră (略:dvs)を使うのが無難のようです。詳細は表の下の説明をご覧ください。「私」の変化と合わせて載せてみます。
〈私 と あなた〉
dumneavoastră (dvs) について
▸ 目上の人やそれほど親しくない相手に使います。
▸ 相手が1人でも複数でも使えます。
▸ 無変化です。対格と与格の弱形は voi に対する vă を使います。
▸ 文法的には尊称代名詞の2人称複数形です。
▸ これが主語の場合、相手がたとえ1人であっても動詞は2人称複数形を使います。
☞ 直p.102 §1, p.106 §6; やさp.32 (b); Col p.36 B
▸ 目上の人やそれほど親しくない相手に使います。
▸ 相手が1人でも複数でも使えます。
▸ 無変化です。対格と与格の弱形は voi に対する vă を使います。
▸ 文法的には尊称代名詞の2人称複数形です。
▸ これが主語の場合、相手がたとえ1人であっても動詞は2人称複数形を使います。
☞ 直p.102 §1, p.106 §6; やさp.32 (b); Col p.36 B
〔表の説明〕
▸ 弱=弱形、強=強形
▸ 1人称に属格はなく、所有形容詞を使います。
▸ 弱=弱形、強=強形
▸ 1人称に属格はなく、所有形容詞を使います。
〔弱形について〕
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。
・mă → m-
・îmi → mi-
・vă → v-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。
・îmi → -mi
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の与格弱形は次の形になります。
îmi → mi, vă → vi
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。
・mă → m-
・îmi → mi-
・vă → v-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。
・îmi → -mi
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の与格弱形は次の形になります。
îmi → mi, vă → vi
その他の1・2人称
「私」(1人称単数)と尊称形の「あなた」を除く1・2人称の代名詞を以下にまとめます。tu と voi(およびその変化形)は親しい相手に使います。dumneata は尊称代名詞の2人称単数形です。詳細は表下の説明をご覧ください。
〈その他の1・2人称〉
dumneata (d-ta) について
▸ 同僚や部下など、立場は近くてもそれほど親しくない1人の相手に使います。
▸ 尊称代名詞の2人称単数形です。
▸ これが主語のとき、動詞は2人称単数形にします。
▸ 相手が複数の場合には複数形の dumneavoastră を使います。
☞ 直p.102 §1; Col p.36 B
▸ 同僚や部下など、立場は近くてもそれほど親しくない1人の相手に使います。
▸ 尊称代名詞の2人称単数形です。
▸ これが主語のとき、動詞は2人称単数形にします。
▸ 相手が複数の場合には複数形の dumneavoastră を使います。
☞ 直p.102 §1; Col p.36 B
〔表の説明〕
▸ 弱=弱形、強=強形
▸ 通常の1・2人称に属格はなく、所有形容詞を使います。
▸ 弱=弱形、強=強形
▸ 通常の1・2人称に属格はなく、所有形容詞を使います。
〔弱形について〕
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。
・te → te-
・ne → ne-
・vă → v-
・îți → ți-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。
・îți → -ți
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の与格弱形は次の形になります:
iți → ți, ne → ni, vă → vi
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。
・te → te-
・ne → ne-
・vă → v-
・îți → ți-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。
・îți → -ți
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の与格弱形は次の形になります:
iți → ți, ne → ni, vă → vi
尊称代名詞
尊称代名詞には、上記の2人称のほか、3人称の dumnealui(あの方、男性)、dumneaei(あの方、女性)、dumnealor(あの方たち、複数)があります。詳細は省略します。
☞ 直p.102 §1, p.106 §6; やさp.32 (b); Col p.36 B
☞ 直p.102 §1, p.106 §6; やさp.32 (b); Col p.36 B
3人称の代名詞
最後に3人称の代名詞についてまとめます。
〔表の説明〕
▸ m = 男性、n = 中性、f = 女性
▸ 3人称には上記のように3種類の尊称代名詞があります。
▸ îi :①対格弱形の男性複数と②与格弱形の単数(3性共通)に使います
▸ le :いずれも複数の①対格弱形の中・女性と②与格弱形(3性共通)に使います
▸ o :一部の結合形態で独自のルールをもつのでオレンジで示しました。
▸ m = 男性、n = 中性、f = 女性
▸ 3人称には上記のように3種類の尊称代名詞があります。
▸ îi :①対格弱形の男性複数と②与格弱形の単数(3性共通)に使います
▸ le :いずれも複数の①対格弱形の中・女性と②与格弱形(3性共通)に使います
▸ o :一部の結合形態で独自のルールをもつのでオレンジで示しました。
〔弱形について〕
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。o は過去分詞や不定法の後ろにハイフンで結合されます。
・îl → l-
・o → -o
・îi → i-
・le → le-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。ただし、o を付けるときは現在分詞に直接付けます。
・îl → -l
・o → -o
(să + o → s-o)
・îi → -i
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の弱形は次の形になります。
îi → i, le → li
対格弱形の o は与格弱形の結合形とハイフンで結合し、「与格弱形の結合形-o」のようになります。
▸ 弱形の位置:一般に動詞の直前に置きます。肯定命令形では動詞の後ろに置きます。否定命令形では「nu+弱形+命令形」の語順になります。
▸ 結合形(前):対格や与格の弱形は複合過去形や条件法において助動詞a aveaの直前に置かれ、ハイフンで結合されます。このとき一部の弱形は結合形に変わります。o は過去分詞や不定法の後ろにハイフンで結合されます。
・îl → l-
・o → -o
・îi → i-
・le → le-
▸ 結合形(後):否定辞 nu、疑問詞 ce、接続詞 să, că などに対し、一部の弱形は次のように結合形となってハイフンで結合されます。
現在分詞に付くときは、現在分詞に -u を付けてから弱形を付けます。ただし、o を付けるときは現在分詞に直接付けます。
・îl → -l
・o → -o
(să + o → s-o)
・îi → -i
▸ 2つの弱形:1つの動詞に対格の弱形と与格の弱形がともに付くとき、語順は「与格弱形+対格弱形」です。このとき一部の弱形は次の形になります。
îi → i, le → li
対格弱形の o は与格弱形の結合形とハイフンで結合し、「与格弱形の結合形-o」のようになります。
〈参考〉
基本 ☞ 直p.58 §3
2人称について ☞ 直p.47 §6; Col p.36-B
主格 ☞ 直p.47 §5; Col p.26-C
対格強形 ☞ 直p.55 §6, p.95 §3; Col p.120-A
与格強形 ☞ 直p.114 §1; Col p.151-A
対格・与格の弱形 ☞ 直p.50 §2, p.74 §1, p.83 §7, p.114; Col p.109-A, p.133-A
弱形の位置 ☞ 直p.63 §5, p.82 §5
命令形と弱形 ☞ 直p.51 §3, p.174 §1
複合過去形と弱形 ☞ 直p.66 §1, p.74 §2
現在分詞との結合 ☞ 直,p.142 §1; Col p.223
弱形の用法 ☞ 直p.135 §4; Col pp.135-137
2つの弱形 ☞ 直p.127 §3, p.214 §1; Col pp.152-154 §3
弱形のまとめ ☞ 直p.226
基本 ☞ 直p.58 §3
2人称について ☞ 直p.47 §6; Col p.36-B
主格 ☞ 直p.47 §5; Col p.26-C
対格強形 ☞ 直p.55 §6, p.95 §3; Col p.120-A
与格強形 ☞ 直p.114 §1; Col p.151-A
対格・与格の弱形 ☞ 直p.50 §2, p.74 §1, p.83 §7, p.114; Col p.109-A, p.133-A
弱形の位置 ☞ 直p.63 §5, p.82 §5
命令形と弱形 ☞ 直p.51 §3, p.174 §1
複合過去形と弱形 ☞ 直p.66 §1, p.74 §2
現在分詞との結合 ☞ 直,p.142 §1; Col p.223
弱形の用法 ☞ 直p.135 §4; Col pp.135-137
2つの弱形 ☞ 直p.127 §3, p.214 §1; Col pp.152-154 §3
弱形のまとめ ☞ 直p.226
再帰代名詞
対格 弱形 se (s-) 強形 sine
与格 弱形 îsi (-și, și-) 強形 șie, sieși → lui, ei, lor
▸ pe sine:日常的には→ pe el, ea, ei, ele が用いられる。☞ Col p.121
▸ 与格強形:日常的には→ lui, ei, lor が用いられる。☞ Col p.152
☞ 直p.171 §6, p.226 §2; Col p.111, p.121, p.133, p.152
与格 弱形 îsi (-și, și-) 強形 șie, sieși → lui, ei, lor
▸ pe sine:日常的には→ pe el, ea, ei, ele が用いられる。☞ Col p.121
▸ 与格強形:日常的には→ lui, ei, lor が用いられる。☞ Col p.152
☞ 直p.171 §6, p.226 §2; Col p.111, p.121, p.133, p.152
人称代名詞の説明が完成したところでいったん終わりにします——
初版:
2013.11.21