文法メモ：形容詞１課
形容詞の基本事項をまとめます。
・性数変化
・女性単数の属・与格形
・語 順
・比較級と最上級
・不規則変化
・女性単数の属・与格形
・語 順
・比較級と最上級
・不規則変化
1. 性数変化
文法の観点から見た4グループ
形容詞は修飾・叙述する名詞の性と数によって語形が変化します。変化パターンの数は名詞１の「1. 名詞の性」で述べた4つが基本です。すなわち、中性名詞は単数では男性名詞と、複数では女性名詞と同じ扱いになります。
文法の観点から見た4グループ
- 単数：
- 男性・中性
- 女性
- 複数：
- 男性
- 女性・中性
このほか、複数で性の区別をしない3グループ型、性の区別をしない2グループ型、さらには不変化型があります。代表的な例をいくつか示します。
▸ イタリックは強勢アクセントを示します
▸ イタリックは強勢アクセントを示します
〈例１〉通常の4グループ型
・良い bun、いくつかの cît
- 単数：
- bun, cît
- bună, cîtă
- 複数：
- buni, cîți
- bune, cîte
〈例２〉3グループ型（複数が共通）
・長い lung、乾いた sec
- 単数：
- lung, sec
- lungă, seacă
- 複数：
- lungi, seci
〈例３〉3グループ型（-tor型）
・役立つ folositor
- 単数：
- folositor
- folositoare
- 複数：
- folositori
〈例４〉2グループ型（3性共通）
・大きい mare
- 単数：
- mare
- 複数：
- mari
☞ 直p.58-p.59 §4; やさp.24; Col. pp.17-18 §2.B
2. 女性単数の属・与格形
形容詞は格変化しませんが、1つだけ例外があります。修飾先の女性名詞が単数属格のとき、名詞と同様、形容詞も女性複数形と同じ形になります。
女性名詞 形容詞
単数 主格 ：-ă, -e -ă, -e
単数 属・与格：-e, -i -e, -i
複数 主格 ：-e, -i -e, -i
単数 主格 ：-ă, -e -ă, -e
単数 属・与格：-e, -i -e, -i
複数 主格 ：-e, -i -e, -i
＊ 名詞と形容詞は（言うまでもなく）それぞれが変化します。
〈例〉よい女子学生 studentă bună
〈不定冠詞と〉
単数 主・対o studentă bună
単数 属・与unei studente bune
複数 主・対(niște) studente bune
複数 属・与unor studente bune
（※ルーマニア語では基本的に「名詞＋形容詞」の語順になります）
〈不定冠詞と〉
単数 主・対o studentă bună
単数 属・与unei studente bune
複数 主・対(niște) studente bune
複数 属・与unor studente bune
（※ルーマニア語では基本的に「名詞＋形容詞」の語順になります）
☞ 直p.142 §3; Col. p.77
3. 語 順
前置される形容詞
形容詞＋特定のものを指す名詞
語順の原則 （不定冠詞＋）名詞＋形容詞
＊ 名詞句に形容詞が付く例：
・ビールの大ジョッキ un pahar mare cu bere
・小さいチョコレートケーキ o prăjitură mică de ciocolată
☞ Col. p.50
前置される形容詞
a)性質を示す一部の形容詞で、意味をとくに強調するとき
（通常は後置ですが、強調するときは前置も可能）
b)数詞のほか、数量を示す「多い」mult や「少ない」puțin など
c)「最初の」prim、「最後の」ultim など
（通常は後置ですが、強調するときは前置も可能）
b)数詞のほか、数量を示す「多い」mult や「少ない」puțin など
c)「最初の」prim、「最後の」ultim など
〈a の例〉
・小さい問題 o mică problemă
・大きな困難 mari dificultăți
・小さい問題 o mică problemă
・大きな困難 mari dificultăți
形容詞＋特定のものを指す名詞
① 形容詞が前置され、
② 名詞が特定のものを指す場合、
定冠詞語尾は名詞に付かず、前置される形容詞に付く。
② 名詞が特定のものを指す場合、
定冠詞語尾は名詞に付かず、前置される形容詞に付く。
上の条件のとき 形容詞–定冠詞語尾＋名詞
〈例１〉美しい俳優 〔男〕frumos actor
〈定冠詞形〉
単数 主・対frumosul actor
単数 属・与frumosului actor
複数 主・対frumoșii actori
複数 属・与frumoșilor actori
〈定冠詞形〉
単数 主・対frumosul actor
単数 属・与frumosului actor
複数 主・対frumoșii actori
複数 属・与frumoșilor actori
〈例２〉大きな問題 〔女〕mare problemă
〈定冠詞形〉
単数 主・対marea problemă
単数 属・与marii probleme
複数 主・対marile probleme
複数 属・与marilor probleme
〈定冠詞形〉
単数 主・対marea problemă
単数 属・与marii probleme
複数 主・対marile probleme
複数 属・与marilor probleme
☞ 直p.91 §2; Col. pp.176-177 §2.B.1
4. 比較級と最上級
4a. 比較級
4b. 最上級
形容冠詞 cel
4c. 劣勢比較
英語のlessのように程度がより低いことを表すには「mai puțin ＋ 形容詞」とします。
程度が最も低いことを表すには比較級に上記の形容冠詞 cel を付けて「celの変化形 ＋ mai puțin ＋ 形容詞」とします。
4d. 副詞の比較級と最上級
4a. 比較級
副詞 mai ＋ 形容詞 ＋ 名詞
＊形容詞は性数変化を行う
＊比較対象は「〜より」decît でつなげる
＊比較対象は「〜より」decît でつなげる
〈例〉1マイルは1キロメートルより長い
O milă este mai lungă decît un kilometru
☞ 直p.63 §7; Col. p.80 §2.D
4b. 最上級
形容冠詞 cel ＋ mai ＋ 形容詞 ＋ 名詞
＊形容冠詞 cel は下のように変化します。
＊形容詞は名詞の性数格に応じて通常に変化します。
＊上記語順のとき、名詞は定冠詞語尾をとらないようです。
＊比較範囲をいうときは、前置詞 din などを使います。
＊形容詞は名詞の性数格に応じて通常に変化します。
＊上記語順のとき、名詞は定冠詞語尾をとらないようです。
＊比較範囲をいうときは、前置詞 din などを使います。
形容冠詞 cel
〈例１〉大きな銀行 〔女〕mare bancă
単数 主・対cea mai mare bancă
単数 属・与celei mai mari banci
複数 主・対cele mai mari banci
複数 属・与celor mai mari banci
単数 主・対cea mai mare bancă
単数 属・与celei mai mari banci
複数 主・対cele mai mari banci
複数 属・与celor mai mari banci
〈例２〉
ロンドはヨーロッパ最大の都市だ。
Londra este cel mai mare oraș din Europa.
（oraș〔中〕市、町）
ロンドはヨーロッパ最大の都市だ。
Londra este cel mai mare oraș din Europa.
（oraș〔中〕市、町）
☞ 直p.110 §1; Col. p203 §2.B
4c. 劣勢比較
英語のlessのように程度がより低いことを表すには「mai puțin ＋ 形容詞」とします。
程度が最も低いことを表すには比較級に上記の形容冠詞 cel を付けて「celの変化形 ＋ mai puțin ＋ 形容詞」とします。
☞ 直p.131 §8, p.187 §4
4d. 副詞の比較級と最上級
ついでに副詞の場合にも触れておきます。
形容詞の場合に準じて：
比較級 → mai ＋ 副詞
最上級 → cel mai ＋ 副詞
となります。いずれも無変化です。
形容詞の場合に準じて：
比較級 → mai ＋ 副詞
最上級 → cel mai ＋ 副詞
となります。いずれも無変化です。
5. 不規則変化
新しい nou
古い vechi
不規則変化の形容詞を少しメモしておきます。
新しい nou
- 単数：
- 男･中〕nou
- 女〕nouă
- 複数：
- 共 通〕noi
古い vechi
- 単数：
- 男･中〕vechi
- 女〕veche
- 複数：
- 共 通〕vechi
☞ 直p.163 §4
形容詞１はここまでです——
〔参考〕
初版：
2013.10.24
準備編： 2013.9.08
準備編： 2013.9.08
