動詞の現在形を中心にまとめます。
・人称代名詞と2人称
・重要動詞の直説法現在形
・直説法現在形の変化
・否定
・再帰動詞
・命令法
・重要動詞の直説法現在形
・直説法現在形の変化
・否定
・再帰動詞
・命令法
1. 人称代名詞と2人称
前置きとして、人称代名詞の主格形を示したあと、2人称の使い方について注記します。
人称代名詞の主格形
* 人称代名詞の主格形は通常は省略されます。
* 重要な「私」と「あなた」の形を青で示しました。
* 重要な「私」と「あなた」の形を青で示しました。
1a. 2人称
目上の人やあまり親しくない人(短期滞在者にはたいていの人がそうだと思います)には、たとえ相手が1人のときでも動詞を2人称複数形で使うのが普通です。
2人称の主語に人称代名詞を使うときは尊称代名詞の dumneavoastră を使うのが無難です。
☞ 直p.47 §5,§6, p.102; Col. p.36
※人称代名詞については別項で詳述する予定です。
2. 重要動詞の直説法現在形
とくに重要な3つの動詞「〜である」「〜をもっている」「〜をする」の直説法現在形を下にまとめます。直説法現在形というのは通常の現在形です。
なお、上記1a.「2人称」で触れたように、それほど親しくない人には(相手が1人でも)一般に2人称複数形を使います。
なお、上記1a.「2人称」で触れたように、それほど親しくない人には(相手が1人でも)一般に2人称複数形を使います。
動詞 a fi(〜である)の直説法現在形
▸ イタリックは強勢アクセントを示します
* 2・3人称単数:語頭の e は例外的にイェと発音します。
* 3人称単数形:とくに強調する場合以外は簡略形の e を使います。
* e の母音接続形 -i:e が否定辞 nu など、母音に終わる代名詞や副詞に続くときは、半母音 -i となって前の語と融合します。
〈例〉nu + e → nu-i ce + e → ce-i
* 3人称単数形:とくに強調する場合以外は簡略形の e を使います。
* e の母音接続形 -i:e が否定辞 nu など、母音に終わる代名詞や副詞に続くときは、半母音 -i となって前の語と融合します。
〈例〉nu + e → nu-i ce + e → ce-i
☞ 直p.38; Col. p.28
動詞 a avea(〜をもっている)の直説法現在形
Ⅱ類の不規則動詞
Ⅱ類の不規則動詞
* 否定辞 nu が直前に来ると n-am, n-ai, n-are などになります。
☞ 直p.42; Col. p.28
動詞 a face(〜をする)の直説法現在形
Ⅲ類の規則動詞
Ⅲ類の規則動詞
☞ 直p.38; Col. p.28
3. 直説法現在形の変化
動詞の直説法現在形の変化は次の5パターンに大別できます。最初のオレンジ色が不定詞の語尾です。Ⅰ類、Ⅳ類、Ⅴ類には、シンプルな aタイプ と、それぞれ -ez, -esc, -ăsc が付く bタイプ とがあります。両タイプの対比をあとの表に示します。
これらの表に従う活用が規則活用(規則変化)です。
*「私」と「あなた」に背景色を着けました。
これらの表に従う活用が規則活用(規則変化)です。
*「私」と「あなた」に背景色を着けました。
直説法現在形の人称語尾
* 1人称単数:共通して無語尾です。
* 3人称単数の母音交替:アクセントのある語幹で e → ea, o → oa に変わることがあります。
* Ⅲ類動詞の特徴は、1・2人称の複数形で語尾にアクセントがないことです。
* 3人称単数の母音交替:アクセントのある語幹で e → ea, o → oa に変わることがあります。
* Ⅲ類動詞の特徴は、1・2人称の複数形で語尾にアクセントがないことです。
3a. Ⅰb類動詞
Ⅰ類動詞の人称語尾
3b. Ⅳb類動詞とⅤb類動詞
Ⅳ類・Ⅴ類動詞の人称語尾
4. 否定
否定文をつくるには動詞の前に否定辞 nu を置きます。
〈例〉
・私はしない eu nu fac
・彼らは来ない ei nu vin
4a. 動詞 a avea と
動詞 a avea(持っている)の現在形に否定辞 nu が付くとき、nu は短縮形になります。
動詞 a avea の否定
- 単数
- 複数
- 1
- n-am
- n-avem
- 2
- n-ai
- n-aveți
- 3
- n-are
- n-au
4b. 否定代名詞や否定副詞と
英語の never や nowhere は否定辞 not を必要としませんが、ルーマニア語では否定代名詞や否定副詞を使った場合でも動詞の前に nu が必要です。フランス語で ne … rien などになるのと同様です。
〈例〉
・私には何も見えない eu nu văd nimic
・彼は決して来ない el nu vine niciodată
・誰も眠っていない nu doarme nimeni
・私には何も見えない eu nu văd nimic
・彼は決して来ない el nu vine niciodată
・誰も眠っていない nu doarme nimeni
☞ 直p.99 §4, p.171 §5; Col. pp.38-39 §2.F
5. 再帰動詞
英語の“enjoy oneself’(楽しむ、楽しく過ごす)のように自分自身を目的語として自動詞のように働く動詞を再帰動詞といいます。また、目的語となる人称代名詞を再帰代名詞といいます。再帰代名詞には直接目的語(対格)と間接目的語(与格)の両方の場合があります。
〔特徴〕
不定詞 a se/își + 動詞の原形
例:a se duce(行く)
再帰代名詞と動詞部分が人称と数によってそれぞれ変化します。再帰代名詞は1・2人称は通常の人称代名詞の弱形ですが、3人称は単複共通で se(対格)または își(与格)になります。
再帰代名詞
〈例〉急ぐ a se grăbi
単数 mă grăbesc, te grăbești, se grăbește
複数 ne grăbim, vă grăbiți, se grăbesc
単数 mă grăbesc, te grăbești, se grăbește
複数 ne grăbim, vă grăbiți, se grăbesc
☞ 直p.54 §1; Col. p.111 §2.B
6. 命令法
6a. してください
「〜してください」と頼むときは命令法の2人称複数形を使います。形は直説法現在形の2人称複数形と同じです。フランス語と同じ要領かと思います。
何かを頼むときは一般に vă rog を付けます。英語の please に相当します。
何かを頼むときは一般に vă rog を付けます。英語の please に相当します。
〜してください = 直説法現在形の2人称複数形 ……, vă rog.
〔不規則〕a fi → fiți ...
「私に〜してください」というときは「私に」mi(与格弱形)をハイフンでつなげます。
「私を〜してください」というときは「私を」mă(対格弱形)をハイフンでつなげます。
このように肯定命令で動詞の目的語に人称代名詞を使うときは、弱形を動詞の後ろにハイフンでつなげます。再帰動詞の場合も同様です。☞ 直p.63 §5
※人称代名詞の弱形が動詞につながるとき、動詞の語尾 i は軟音記号ではなく、普通に [i] と発音されます。
「私を〜してください」というときは「私を」mă(対格弱形)をハイフンでつなげます。
このように肯定命令で動詞の目的語に人称代名詞を使うときは、弱形を動詞の後ろにハイフンでつなげます。再帰動詞の場合も同様です。☞ 直p.63 §5
※人称代名詞の弱形が動詞につながるとき、動詞の語尾 i は軟音記号ではなく、普通に [i] と発音されます。
〈例〉
・出発してください plecați
・来てください veniți
・行ってください duceți-vă(再帰動詞)
・私に〜をください dați-mi ...
・私に〜を送ってください trimiteți-mi ...
☞ 直p.51 §3, p.82, §5, p.50 §2; Col. pp.162-165 §2.A
6b. しないでください
否定命令の場合は動詞の前に否定辞 nu を置きます。
動詞の目的語となる人称代名詞の弱形は否定辞 nu にハイフンでつなげます。再帰動詞の場合はハイフンを使わないようです。
動詞の目的語となる人称代名詞の弱形は否定辞 nu にハイフンでつなげます。再帰動詞の場合はハイフンを使わないようです。
〈例〉
・出発しないでください nu plecați
・来ないでください nu veniți
・行かないでください nu vă duceți(再帰動詞)
・急がないでください nu vă grăbiți(再帰動詞)
・私に送らないでください nu-mi trimiteți
☞ Col. pp.162-165 §2.A
6c. しろ、するな
相手が複数のときは上記4a., 4b.と同じく2人称複数形を使います。1人に対する「しろ」「するな」の命令には、命令法の2人称単数形を使います。重要度(使用頻度)が低いと思われるので、とりあえず省略します。
☞ 直p.74 §3, p.82, §5; Col. pp.162-165 §2.A
☞ 直p.74 §3, p.82, §5; Col. pp.162-165 §2.A
動詞1はここまでです——
〔参考〕
初版:
2013.10.23
準備編: 2013.9.01
準備編: 2013.9.01