・不定冠詞(1)
・名詞の複数形
・定冠詞(1)
・名詞の格
・不定冠詞(2)
・定冠詞(2)
すなわち、文法変化の観点で見ると名詞は次の4種類に区分できます。
- 単数:
- 男性・中性
- 女性
- 複数:
- 男性
- 女性・中性
単数 un o
▸ 複数欄のハイフンは〈付加〉を、矢印は〈文字の交替〉を示します。
- 単数
- 複数
- 〔男〕
- -子音
- -i
- -u, -e
- ⇨ i
- 〔女〕
- -ă
- ⇨ e, i
- -e
- ⇨ i
- 〔中〕
- -子音
- -uri, e
ルーマニア語の定冠詞は独立した単語の形をもたず、定冠詞語尾として名詞の後ろに付加されます(後置定冠詞)。単数と複数の主格に対する定冠詞語尾は次のようになります。
▸ 表中のハイフンは付加を、矢印は文字の交替を示します。
〔役割〕
主格 主に主語に使われる
属格 「〜の」を表す
対格 動詞の直接目的語。多くは日本語の「〜を」に対応する
与格 動詞の間接目的語。多くは日本語の「〜に」に対応する
〔特徴〕
格によって名詞が変化すること(これを格変化といいます)はありません。複数を示す複数語尾があるだけです。例外は、呼格と女性名詞の単数属・与格です。
名詞そのものは(上記を除いて)格変化しませんが、かわりに(?)冠詞が格変化します。ドイツ語のような感じでしょうか。
冠詞などの格変化は基本的に ①主格と対格が同じ(主・対格形)で、②属格と与格が同じ(属・与格形)です。したがって、格変化といっても単数と複数について①と②の2つずつがあるだけです。
単数属・与格:-e, -i
複数主格 :-e, -i
☞ 直p.71 §4, p.119; Col. pp.59-60
〈例〉夫人 doamnă
不定冠詞と定冠詞と
単数 主・対o doamnădoamna
単数 属・与unei doamnedoamnei
複数 主・対(niște) doamnedoamnele
(赤字が名詞の語尾、青字が定冠詞語尾です)
☞ 直p.71
※一般には -e だが、-u の名詞は -le を付けることが多い。
☞ 直p.94, p.105; Col. p.61 C.
〔女〕単数 -a → -o
☞ 直p.134, p.154; Col. p.61 C.
〔男・女〕複数 -lor
☞ Col. p.61 C.
- 主・対格
- 属・与格
- 単数
- 男・中〕
- un
- unui
- 女〕
- o
- unei
- 複数
- 共通
- (niște)
- unor
▸ 複数の主格形はなく、かわりに無変化の不定形容詞 niște(いくつかの)を使うようです。
☞ 直p.43 §4, p.86 §3, p.105 §2; Col. pp.58-61
〈例1〉男子学生 student
男子学生(1人)は・を un student
男子学生(1人)の・に unui student
男子学生(複数)は・を (niște) studenți
男子学生(複数)の・に unor studenți
〈例2〉女子学生 studentă
女子学生(1人)は・を o studentă
女子学生(1人)の・に unei studente
女子学生(複数)は・を (niște) studente
女子学生(複数)の・に unor studente
*単数の属・与格形は格変化で語尾が変わっています。
☞ Col. p.59
▸ 表中のハイフンは付加を、矢印は文字の交替を示します。
〈例1〉-ă語尾の名詞 doamnă(夫人)
名詞のみ定冠詞つき
単数 主・対 doamnădoamna
単数 属・与 doamnedoamnei
複数 主・対 doamnedoamnele
(赤字が名詞の語尾、青字が定冠詞語尾です)
☞ 直p.71
〈例2〉-e語尾の名詞 carte(本)
名詞のみ定冠詞つき
単数 主・対 cartecartea
単数 属・与 carțicarții
複数 主・対 carțicarțile
☞ Col. p.68
-ou 語尾のものは複数語尾が -ouri になり、これに定冠詞 -le/lor が付く。
-iu 語尾のものは複数語尾が -ii になり、これに定冠詞 -le/lor が付く。
☞ Col. p.69
準備編: 2013.8.26