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ルーマニア語
旅会話の素
マーク 文法メモ:名詞1課
 名詞の概要です。冠詞のまとめも載せています。
・名詞の性
・不定冠詞(1)
・名詞の複数形
・定冠詞(1)
・名詞の格
・不定冠詞(2)
・定冠詞(2)
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1. 名詞の性
 ルーマニア語には男性名詞、中性名詞、女性名詞の区別があります。これは文法上の性であり、名詞ごとに決まっています。女性名詞の多くは単数主格で -ă の語尾をとります。
 中性名詞の文法上での扱い:単数は男性名詞に準じ、複数は女性名詞に準じます。
 すなわち、文法変化の観点で見ると名詞は次の4種類に区分できます。
文法の観点から見た名詞の4グループ
単数:
男性・中性
女性
複数:
男性
女性・中性
 中性名詞の扱いが単数と複数で違う点について、こういう説明を見つけました。→ 中性複数の「-a」(2013.9.10 追加)
 女性名詞の造語:男性名詞から女性名詞をつくるときには次の語尾がよく用いられます: -ă, -iță, -, -easă ☞ 直p.191
2. 不定冠詞(1)
 主格名詞に対する不定冠詞は次の形になります。格については後述します。主格は主語に用いる形であり、また名詞の代表形です。
  不定冠詞(主格)
 〔男・中〕〔女〕
単数 un o
 不定冠詞には複数の主格形がないため、かわりに無変化の不定形容詞 niște(いくつかの)を使うようです。☞ 直p.86 §3, p.105 §2
3. 名詞の複数形
 複数形の語尾は男性名詞が -i、女性名詞が( -ă →)-e または -i となるのが一般的です。基本的なパターンを下に示します。
 複数欄のハイフンは〈付加〉を、矢印は〈文字の交替〉を示します。
  名詞の複数形
 
単数
複数
〔男〕
-子音
-i
 
-u, -e
i
〔女〕
e, i
 
-e
i
〔中〕
-子音
-uri, e
〈補足〉
・女性名詞:マイナーな例として -ie-ii ; -a-ale ; -ea-ele もあるようです。
・中性名詞:マイナーな例として -ou-ouri ; -iu-ii もあるようです。
・マイナーな例については ☞ 直p.115, pp.178-179; Col. pp.34-35
・複数語尾 -i が付くときに子音の交替が起きることがあります。例:t > ți,  s > și
・語尾の子音 + i について:[i] の音ではなく、実質的には軟音符号です。詳しくは ☞ こちら非表示
4. 定冠詞(1)
 名詞の複数形を見たところで、定冠詞の話に進みます。
 ルーマニア語の定冠詞は独立した単語の形をもたず、定冠詞語尾として名詞の後ろに付加されます(後置定冠詞)。単数と複数の主格に対する定冠詞語尾は次のようになります。
 表中のハイフンは付加を、矢印は文字の交替を示します。
  定冠詞語尾(主格)
 マイナーなパターンについては下の7.節をご覧ください。
5. 名詞の格
 ルーマニア語には主格対格属格与格という4つの格に加え、呼びかけに使う呼格があります。これらの格は、主語、目的語、修飾語など、文中での役割に対応して決まります。ドイツ語やロシア語などと同様です。呼格はやや特殊なので、分けて扱うことにします。

〔役割〕
icon 主格 主に主語に使われる
icon 属格 「〜の」を表す
icon 対格 動詞の直接目的語。多くは日本語の「〜を」に対応する
icon 与格 動詞の間接目的語。多くは日本語の「〜に」に対応する

〔特徴〕
icon 格によって名詞が変化すること(これを格変化といいます)はありません。複数を示す複数語尾があるだけです。例外は、呼格と女性名詞の単数属・与格です。
icon 名詞そのものは(上記を除いて)格変化しませんが、かわりに(?)冠詞が格変化します。ドイツ語のような感じでしょうか。
icon 冠詞などの格変化は基本的に ①主格と対格が同じ(主・対格形)で、②属格と与格が同じ(属・与格形)です。したがって、格変化といっても単数と複数について①と②の2つずつがあるだけです。

icon 5a.  女性名詞の単数属・与格
 上述のように、呼格以外で格変化を行うのは女性名詞の単数だけです。言い換えると、単数の属・与格形は主格形と異なる語尾をもちます。具体的には複数形と同じです。
〔女〕単数主格  :-ă, -e
 単数属・与格:-e, -i
 複数主格  :-e, -i
 この属・与格形は不定冠詞(unei)または定冠詞語尾(-i)とともに使われます。
☞ 直p.71 §4, p.119; Col. pp.59-60

〈例〉夫人 doamnă
 不定冠詞と定冠詞と
単数 主・対o  doamnădoamna
単数 属・与unei  doamnedoamnei
複数 主・対(niște)  doamnedoamnele
(赤字が名詞の語尾、青字が定冠詞語尾です)
 ☞ 直p.71

icon 5b.  呼格
 人や動物、さらには事物に呼びかける場合、一般には主格が用いられるが、呼格も用いられる——らしいのですが、明確な説明が見当たりません。話者の気分でどっちを使ってもいいのか、名詞によって呼格優先みたいなことがあるのか、わからないのです。とりあえず代表的なパターンだけ載せておきます。
〔男〕単数 -e, -(u)le
 ※一般には -e だが、-u の名詞は -le を付けることが多い。
 ☞ 直p.94, p.105; Col. p.61 C.
〔女〕単数 -a-o
 ☞ 直p.134, p.154; Col. p.61 C.
〔男・女〕複数 -lor
 ☞ Col. p.61 C.
6. 不定冠詞(2)
 上記5.で格について見たところで、主格以外の不定冠詞についてまとめます「特徴」で触れたように、主格と対格が同形で、属格と与格が同形です。2.「不定冠詞(1)」で示した主格形(主・対格形)と合わせて表形式にします。
  不定冠詞(すべて)
 
 
 主・対格
 属・与格
単数
 男・中〕
un
unui
 
 女〕
o
unei
複数
 共通
(niște)
unor
 複数は3性共通です。
 複数の主格形はなく、かわりに無変化の不定形容詞 niște(いくつかの)を使うようです。
☞ 直p.43 §4, p.86 §3, p.105 §2; Col. pp.58-61

〈例1〉男子学生 student
 男子学生(1人)は・を un  student
 男子学生(1人)の・に unui  student
 男子学生(複数)は・を (niște)  studenți
 男子学生(複数)の・に unor  studenți

〈例2〉女子学生 studentă
 女子学生(1人)は・を o  studentă
 女子学生(1人)の・に unei  studente
 女子学生(複数)は・を (niște)  studente
 女子学生(複数)の・に unor  studente
 *単数の属・与格形は格変化で語尾が変わっています。
 ☞ Col. p.59

7. 定冠詞(2)
 不定冠詞につづき、すべての格に対する定冠詞語尾をまとめます。定冠詞語尾は名詞の性・数語尾の後ろに付きます。
 表中のハイフンは付加を、矢印は文字の交替を示します。
  定冠詞語尾(すべて)
 女性名詞の単数属・与格単数属・与格名詞の語尾(一般に -e, -i)に対して定冠詞語尾 -i が付きます。合わせると -ei, -ii です。

〈例1〉-ă語尾の名詞 doamnă(夫人)
  名詞のみ定冠詞つき
単数 主・対 doamnădoamna
単数 属・与 doamnedoamnei
複数 主・対 doamnedoamnele
 (赤字が名詞の語尾、青字が定冠詞語尾です)
 ☞ 直p.71

〈例2〉-e語尾の名詞 carte(本)
  名詞のみ定冠詞つき
単数 主・対 cartecartea
単数 属・与 caicaii
複数 主・対 caicaile
 ☞ Col. p.68

 男性名詞の複数主・対格:複数形の語尾 -i にさらに定冠詞語尾 -i が付きます。
icon 7a.  表外の変化
① -ie 語尾の女性名詞
②アクセントのある -a, -ea 語尾の女性名詞
③ -ou, -iu 語尾の中性名詞
 -ou 語尾のものは複数語尾が -ouri になり、これに定冠詞 -le/lor が付く。
 -iu 語尾のものは複数語尾が -ii になり、これに定冠詞 -le/lor が付く。
 ☞ Col. p.69
icon 名詞1はここまでにします——
〔参考〕
初版: 2013.10.23
準備編: 2013.8.26