〈参考文献〉
❐『基礎ネパール語』(大学書林, 1986年)
❐『おもしろく学ぶネパール語』(山形洋一, 国際語学社, 1997年)
❐ 地球の歩き方『旅の会話集8』
1a. 名詞の場合
語順:主語+名詞+ हो の活用形
〔 हो の活用形〕
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
である |
|
ではない |
私は |
|
हुँ
|
|
होइनँ
|
hũ
|
|
hoinã
|
彼/それは |
|
हो
|
|
होइन
|
ho
|
|
hoina
|
尊敬形 (あなたは) |
|
हुनुहुन्छ
|
|
हुनुहुन्न
|
hunuhuncʰa
|
|
hunuhunna
|
君は |
|
हौ
|
|
होइनौ
|
hau
|
|
hoinau
|
〈補足〉
主語が相手(2人称)のときは一般に尊敬形を使う。
「君」の変化形は親しい友だちなどに使う。
〈例〉
私は日本人です
म जापानी हुँ ।
ma jāpāni hun
私の名前は山田です
मेरो नाम यामादा हो ।
mero nām yāmādā ho
あなたは学生ですか?
तपाईं विद्यार्थी हुनुहुन्न ?
tapāĩ bidyārtʰi hunuhuncʰa ?
君は学生か?
तिमी विद्यार्थी हौ ?
timi bidyārtʰi hau ?
〈発音のヒント〉
ネパール語の a は口をあまり開けない曖昧な音
〈参考〉
・『基礎ネパール語』(大学書林)p.66〜
・地球の歩き方『旅の会話集8』
1b. 形容詞の場合
語順:主語+形容詞+ छ の活用形
〔 छ の活用形〕
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
である |
|
ではない |
私は |
|
छु
|
|
छैनँ
|
cʰu
|
|
cʰainã
|
彼/それは |
|
छ
|
|
छैन
|
cʰa
|
|
cʰaina
|
尊敬形 (あなたは) |
|
हुनुहुन्छ
|
|
हुनुहुन्न
|
hunuhuncʰa
|
|
hunuhunna
|
君は |
|
छौ
|
|
छैनौ
|
cʰau
|
|
cʰainau
|
〈補足〉
尊敬形は上記 1a. と同じ。
それ以外では हो (ho) が छ (cʰa) になっている。
「私」の肯定形は हु (hũ) に対して छु (cʰu)。
〈例〉
これは大きいです
यो ठूलो छ ।
yo ṭʰulo cʰa
(ここは)とても楽しいです
धेरै रमाइलो छ ।
dʰerai ramāilo cʰa
ここから遠いですか?
यहाँबाट टाढा छ ?
yahÃ-bāṭa ṭāḍʰā cʰa ?
〈発音のヒント〉
à = ā の鼻母音、アン(आँ)
☞ Ã は ā の上に波線「˜」を付けた文字の代用。
〈参考〉
・『基礎ネパール語』p.51〜, p.70〜
・地球の歩き方『旅の会話集8』
2〜がある(現在形) 先頭|前節|次節
語順:(場所+) 名詞+ छ/ छैन
単 語 | |
ここに |
यहाँ |
|
yahÃ
|
そこに |
त्यहाँ |
|
tyahÃ
|
あそこに |
उहाँ |
|
uhÃ
|
どこに |
कहाँ |
|
kahÃ
|
(場所) に |
म |
|
ma
|
〈例〉
空席があります/ありません
खाली सिट छ/छैन ।
kʰāli siṭ cʰa/ cʰaina
トイレはどこにありますか
टोइलेट कहाँ छ ?
ṭoileṭ kahà cʰa ?
そこにあります
त्यहाँ छ ।
tyahà cʰa
私の家にあります
मेरो घरम छ ।
mero gʰar-ma cʰa
〈参考〉
・『基礎ネパール語』p.44〜
・地球の歩き方『旅の会話集8』
3動詞の3分類 先頭|前節|次節
動詞は大きく以下の3つに分類される。
-
- 語幹
- 副語幹
- 第1型
- -ø
- なし
- 第2型
- -A, i
- なし
- ┌
- -a
- → a を取る(-ø)
- |
- -Au, iu
- → u を取る(-A, i)
- 第3型
- C + u
- u → o(C + o)
- |
- VC + u
- → u を取る(VC)
- └
- jA-nu
- → ga
(V: 母音 C: 子音)
参考 ☞『基礎ネパール語』2課 p.72〜
4動詞の現在形
肯定形:
語幹(+ न् (n))+ छ の変化形
*語幹に n が付くのは第2・第3接続型
*語幹末:-आउ は → -आउँ に
*尊敬形:नु-不定詞 + हुन्छ (huncʰa)
否定形:
語幹 + दै(dai)/ दि(di)+ न の変化形
*दि(di) を使うのは1人称(と女性形)
*第2・第3接続型:語幹末の母音が鼻音化。一部に第2否定形あり。
*尊敬形:नु-不定詞 + हुन्न (hunna)
〈例〉「する」गर्नु garnu
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
する |
|
しない |
私は |
|
गर्छु
|
|
गर्दिनँ
|
garcʰu
|
|
gar-dinã
|
彼/それは |
|
गर्छ
|
|
गर्दैन
|
garcʰa
|
|
gar-daina
|
尊敬形 (あなたは) |
|
गर्नुहुन्छ
|
|
गर्नुहुन्न
|
garnuhuncʰa
|
|
garnuhunna
|
君は |
|
गर्छौ
|
|
गर्दैनौ
|
garcʰau
|
|
gar-dainau
|
❐「君は」の形は親しい友だちに使う。
参考 ☞『基礎ネパール語』3課 p.75〜
5動詞の過去形
作り方:
語幹 + 過去語尾
*語幹:第3型動詞(§3参照)は副語幹
*尊敬形 肯定:नु-不定詞 + भयो (bʰayo)
*尊敬形 否定:नु-不定詞 + भएन (bʰaena)
*他動詞:動作者の後ろに後置詞 ले (le) を付ける。自動詞では不要。
「私」は不規則:मैले (mai-le)
☞『基礎〜』p.100 i.A.d, p.260 付表1
過去語尾
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
〜した |
|
〜しなかった |
私は |
|
-
एँ
|
|
-
इनँ
|
ẽ
|
|
inã
|
彼/それは |
|
-
यो
|
|
-
एन
|
yo
|
|
ena
|
尊敬形 (あなたは) |
|
-
भयो
|
|
-
भएन
|
bʰayo
|
|
bʰaena
|
* नु-不定詞に付きます |
君は |
|
यौ
|
|
एनौ
|
yau
|
|
enau
|
❐ 活用語尾の最初の母音文字:子音に続くと母音符号になる。例:私は起きた उठें (uṭʰẽ)
❐「君は」の形は親しい友だちに使う。
❐「彼/それは」には女性形- ई (i), इन (ina) がありますが、会話ではそれほど使われないようです。☞『基礎〜』p.79
〈हो (ho) と छ (cʰa) の過去形〉
〔हो の過去形〕
① 名詞+ 〜だった/でなかった(過去)
② 形容詞+ 〜になった/ならなかった(変化、完了)
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
だった |
|
でなかった |
|
|
になった |
|
ならな… |
|
|
(副語幹:भ bʰa) |
私は |
|
भएँ
|
|
भइनँ
|
bʰaẽ
|
|
bʰainã
|
彼/それは |
|
भयो
|
|
भएन
|
bʰayo
|
|
bʰaena
|
尊敬形 (あなたは) |
|
हुनुभयो
|
|
हुनुभएन
|
hunubʰayo
|
|
hunubʰaena
|
君は |
|
भयौ
|
|
भएनौ
|
bʰayau
|
|
bʰaenau
|
❐「君」は親しい友だちに使う。
❐ 女性形はあまり使われないようなので省略した。
〔छ の過去形〕
① 形容詞+ 〜だった/でなかった(過去)
② +場所 〜にあった/なかった(過去の存在)
主語 |
|
肯定 |
|
否定 |
↓ |
|
だった |
|
でなかった |
|
|
にあった |
|
になかった |
|
|
(特殊語幹:थि tʰi) |
私は |
|
थिएँ
|
|
थिइनँ
|
tʰiẽ
|
|
tʰiinã
|
彼/それは |
|
थियो
|
|
थिएन
|
tʰiyo
|
|
tʰiena
|
尊敬形 (あなたは) |
|
? |
|
? |
|
|
|
君は |
|
थियौ
|
|
थिएनौ
|
tʰiyau
|
|
tʰienau
|
❐ 尊敬形はhoと同じでいいのかわからなかった。
❐「君」は既述のとおり親しい友だちに使う。
❐ 女性形はあまり使われないようなので省略した。
参考 ☞『基礎ネパール語』4課 p.96〜
現在分詞:語幹 + ने (ne)
◊ 第3型の動詞は基本語幹を使う
実用的には、-nu不定詞の最後の नु (nu) を ने (ne) に変える。
〈例〉
する गर्नु (garnu) ➙ गर्ने (garne)
行く जानु (jAnu) ➙ जाने (jAne)
❐ 用法
現実的に便利な用法は、主動詞としての使用かもしれません。つまり、動詞の現在変化形の代わりに現在分詞が使えます。ただし、断定のニュアンスしかないため、用件のみの場面で使うのが無難なようです。 ☞『基礎』p.145 注1
〈例〉
ポカラはこっちから行くの?
『お』p.34
पोखरा यताबाट जाने ?
pokʰarA yatAbAṭa jAne ?
◊ 用法のまとめ
① 文の主動詞になる(〜する。)
② 分詞として名詞を修飾する(日本語の連体詞)
③ いろいろな時制をつくる
参考 ☞『基礎ネパール語』8課 p.143〜
〜してください、と人に頼むときは、動詞の命令形の尊敬形を使います。通常形と簡略形があります。
尊敬形の簡略形:語幹 + नोस् (nos) / नुस् (nus)
◊ 通常形は「नु (nu)-不定詞 + होस् (hos) 」
◊ 否定命令は頭に न (na) を付けます。
◊ -nosと-nusの区別が不明です。どちらでもいいのかもしれません。
〈例〉
与える
दिनु (
di-nu)
ください दिनोस् (di-nos)(注文に使える)
する
गर्नु (
gar-nu)
〜してください गर्नोस् (gar-nos)
〜しないでください नगर्नोस् (na-gar-nos)
待つ
पर्खनु (
parkʰa-nu)
待ってください पर्खनोस् (parkʰa-nos)
来る
अाउनु (
Au-nu)
来てください अाउनुस् (Au-nus)
行く
जानु (
jA-nu)
行かないでください नजानुस् (na-jA-nus)
参考 ☞『基礎ネパール語』10課 p.158〜
これ、それ、あれ、などの指し示す言葉(指示詞)と、それに対応する「どれ」などの疑問詞について、代表的なものをまとめます。
◊ 各表最右列の
jグループの語は
पनि(pani)と合わさって
どこでも जहाँ पनि(jahÃ-pani)
のような全肯定になります。
☞ 基 p.155 注1
物
これ
それ
あれ
どれ
どれでも
यो
त्यो
उ
के
जे
yo
tyo
u
ke
je
何
何でも
को
जो
ko
jo
どの
どの…も
कुन
जुन
kun
jun
場 所 -हाँ (hÃ)
ここ
そこ
あ…
どこ
どこでも
यहाँ
त्हाँ
उहाँ
कहाँ
जहाँ
yahÃ
tyahÃ
uhÃ
kahÃ
jahÃ
◊ 発音のヒント
a は口をあまり開けない曖昧な音
आँ (
Ã) =
ā の鼻母音、アン
◊ 後置詞との組み合わせの例
बाट (
bAṭa):〜
から基p.52
यहाँबाट (yahÃ-bAṭa) ここから
सम्म (
samma):〜
まで
उहाँसम्म (uhÃ-samma) あそこまで
◊ कहाँ (kahÃ) には「〜のところに」という後置詞の用法もある。(例)तपाईंकहाँ:あなたのところに☞ 基 p.134 注1, p.173 文b
方向・方角 -त (ta)
こちら、そちら……
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यता
त्यता
उता
कता
जता
yatA
tyatA
utA
katA
jatA
◊ 後置詞との組み合わせの例
तिर (
tira):〜
のほうに
यतातिर (yatA-tira) この辺り(に)基p.174, p.209 b
कतातिर (katA-tira) どちら側(に)基p.92
पट्टि (
paṭṭi):〜
の側に基p.107
यतापट्टि (yatA-paṭṭi) こちら側(に)基p.199
उतापट्टि (utA-paṭṭi) 向こう側(に)基p.107, p.166 i
方 法 -सरी (sari)
このようにして、等(動作のやり方など)
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यसरी
त्यसरी
उसरी
कसरी
जसरी
yasari
tyasari
usari
kasari
jasari
◊ 移動手段などを尋ねるときには केमा (ke-mA)〔何に(乗って)〕も使える。
〈例〉
・どうやっていらっしゃるんですか?
कसरी जानुहुन्छ ?
・どうやって行けばいいですか?
कसरी जान साकिन्छ ?☞ 歩 p.130
・(移動手段は)何でいらっしゃるんですか?
केमा जानुहुन्छ ?☞ 基 p.111 文e
様態・手法 -सो (so)
このように、そのように等
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यसो
त्यसो
उसो
कसो
जसो
yaso
tyaso
uso
kaso
jaso
〈例〉
・そのようにする(nu不定詞)
त्यसो गर्नु☞ 基 p.49 文f
◊ この系列には以下のような強調形がある。
-so が -sai になっている。
〈強調形〉
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यसै
त्यसै
उसै
कसै
जसै
yasai
tyasai
usai
kasai
jasai
数量・程度 -ति (ti)
これほど、どれだけ等
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यति
त्यति
उति
कति
जति
yati
tyati
uti
kati
jati
〈例〉
・いくつの कतिवटा(kati-waṭA)☞ 基 p.58
・何人の कतिजना(kati-janA)☞ 基 p.59
・どんなに言っても
जति भनेपनि(jati bʰane-pani)☞ 基 p.238 文a
◊ この系列には以下のような強調形がある。
-ti が -tti になっている。
〈強調形〉
こ…
そ…
あ…
ど…
ど…でも
यत्ति
त्यत्ति
उत्ति
कत्ति
जत्ति
yatti
tyatti
utti
katti
jatti
◊ त्यत्ति(tyatti)+否定で「それほど〜ない」になる。
〈例〉
・それほどはできません
त्यत्ति त अाउँदैन☞ 基 p.49 文f
参考 ☞『基礎ネパール語』付表3 p.264
〔とりあえず、ここまでです……〕
0.g版:2014.8.11
§8の追加
0.f版:2014.8.06
§6と§7の追加